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- 不動産契約の羅針盤
オフィスや店舗の賃貸借契約は、多くの方々にとって、日常的に行う行為ではありません。アパートやマンションを借りたことはあっても、オフィスや店舗を借りるとなると話は別。
個人が住宅を借りる際には2007年(平成19年)に施行された「消費者契約法」が準拠法となるのでしょうが、オフィスや店舗を借りる場合は、借りる方も貸す方もお互い事業者ですから「商法」や各種業法が基本となります。
私たちコンパスネットワークは、オフィスや店舗を借りる際に、どんなところに注意すべきなのかを「借り手」と「貸し手」を繋ぐ「仲介」という立場にたった情報発信をしていきたいと思います。
世の中、win−loseの関係では、お付き合いは長く続きません。私たちが目指しているスタンスはwin−winの関係づくりです。
私たちが関わってきた多くの仲介事例を基に、個別の具体的なご質問にもお答えしますので、下記「ご相談メール」からお気軽にお問合せ下さい。
【更新時に賃貸条件の合意が調わなかった場合の注意点】
景気の先行は、相変わらず不透明感が漂う昨今の経済情勢ではありますが、この1〜2年の兆候としましては、オフィスビルに代表される事業用不動産の賃料水準の上げ基調は続いているといえます。
貸主側は、更新のタイミングを利用し、賃料の値上げ交渉を申し出てきているようですが、更新時に新賃料について双方で合意することができなかったときは、その後の契約については、どういった扱いになるのかをまとめてみます。
借地借家法第26条(建物賃貸借契約の更新等)
1.建物の賃貸借についての期間の定めがある場合において、当事者が期間満了の一年前から六ヶ月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約更新をしたものとみなす。ただし、その期間は定めがないものとする。
という条文があります。
一般的に「更新」といった場合は、貸主と借主の合意による「合意更新」をいいますが、更新後の賃貸条件について双方の合意が調わなかったときは、貸主の合意を得ないでなされる「法定更新」という性格の契約に変わります。
法定更新の場合、更新時に契約条件の合意ができていないので、原則として契約条件が同一の「期間の定めのない借家契約」という性格の契約に変わります。「期間の定めのない借家契約は、借地借家法第27条の『6ヵ月の予告による解約』ができます。ただし、明け渡しに際しては正当事由が必要なので、「期間の定めのない借家契約」となったからといって、貸主による解約が容易になるわけではありません。