オフィスや店舗の賃貸借契約は、多くの方々にとって、日常的に行う行為ではありません。アパートやマンションを借りたことはあっても、オフィスや店舗を借りるとなると話は別。
個人が住宅を借りる際には2007年(平成19年)に施行された「消費者契約法」が準拠法となるのでしょうが、オフィスや店舗を借りる場合は、借りる方も貸す方もお互い事業者ですから「商法」や各種業法が基本となります。
私たちコンパスネットワークは、オフィスや店舗を借りる際に、どんなところに注意すべきなのかを「借り手」と「貸し手」を繋ぐ「仲介」という立場にたった情報発信をしていきたいと思います。
世の中、win−loseの関係では、お付き合いは長く続きません。私たちが目指しているスタンスはwin−winの関係づくりです。
私たちが関わってきた多くの仲介事例を基に、個別の具体的なご質問にもお答えしますので、下記「ご相談メール」からお気軽にお問合せ下さい。
【居抜き物件のメリットとリスク】
ここ数年来の景気低迷により、店舗仲介のトレンドとして「居抜き売買」という手法がずいぶんと目立ってきています。店舗の居抜き情報を取り扱うインターネットサイトも多数登場しています。しかし不動産仲介の世界では、以前からこの流れが主流だった訳ではありません。不動産賃貸借の契約書には必ず『原状回復事項』という項目があります。「原状」(現状ではない)とは何かというと、物件の引渡を受けた時点の状態に戻して(回復して)お返しするということです。では「原状」とはどういう状態か。店舗の場合、その多くはスケルトンの状態だと考えられます。従って、借主は貸主に対して、原則、内装を撤去しスケルトンの状態に戻して返すという義務がある訳です。
しかし一方で、こうした現実もあります。
「スケルトンにして返してもいいが、もったいない」という現実です。飲食店の内装を造るには50万円/坪はかかります。厨房機器まで含めると80万〜90万円/坪かかるのです。こうした初期投資負担を軽減するために、今ある内装・設備を生かして店舗を造る。こうした発想は、ある意味合理的と言えます。
しかしここで注意しておかなければならないポイントがあります。内装・造作の売買については、基本、借主同士の話しであり、借主が貸主に対して果たさなければならない『原状回復義務』は、また別の話しだということです。ですから、仮に居抜き売買の契約が成立したとしても、貸主と新しい借主との間で「原状回復義務」の「原状」の状態をしっかり確認しておかなければなりません。ここの確認を怠り契約を締結した場合、「居抜きで引き継いだんだから、居抜きで返す」ということにもなり、スケルトン状態に戻す義務が、いつの間にか貸主の負担になってしまう可能性もはらんでしまいます。居抜き物件の情報提供業者は、宅建業者ではありませんから、こうした領域にまで責任は取りません。貸主を守り、借主にも納得して出店して頂くためには、しっかりと説明責任を果たせる仲介業者の存在は不可欠だと考えております。